2020.11.16
記念日

19年前の今日、本屋で購入した「有限会社の作り方」を見ながら書類を整え
公証人役場へ行って定款を承認してもらい、登記した日のことを思い出します。
中古の机と棚を安く手に入れ、商談用のテーブルだけは無理して新品を買いました。
電話を設置して、初めて電話に出た時の照れくさい気持ちも、
少しは覚えているようないないような。
そんな記念や節目となる瞬間は、よほどのことでない限り、後からしか気づけないものです。
当社は、20年目に入りました。
長いようで短い19年ですが、こんな20年目が始まろうとは思ってもみなかった。
皆さんが感じてられるように、2020年から2021年にかけて起こっていることは、
間違いなく転換点となる出来事だと思います。
日本や世界で様々なものが変化させられようとしている。
この変化に対応して、自分たちも変化できるよう、
気持ちを新たに、再スタートの記念の年にしようと思います。!
まずは、土を耕し、種をまく準備ですね。
(左:Jean-François Millet 右:Vincent Willem van Gogh)
2020.11.14
ダウンのお話(その2)
前回の続き。

ダウンの加工メーカーは大手から中小企業まで日本国内にも多くあり、
日本国内で加工されるダウンのほとんどは『羽毛布団用』に使われています。
使用する量からしても衣料用と寝具用では圧倒的な差があり、
求められる品質にも実は圧倒的な差があります。
就寝時に体の上にのせる布団から「鳥のにおい」がしたり、「羽の固い部分」があたったりするのは嫌ですよね。
顔にもかなり近い距離で使用するため、徹底的に臭いや汚れを除去しなくてはなりません。
そのために、日本のダウン加工メーカーは、水や洗浄方法、乾燥方法、後加工などにこだわり高品質なものを追求しています。
その差は、並べて比較すると一目瞭然です。
ただし、一般的には、布団やダウンジャケットの中身が見えないため、
布越しで触れるダウンの違いはそう簡単に判別できるものでもありません。
毎日使う布団であれば、軽くて暖かいに越したことはなく、
追求すればいくらでもよいものが出てきます。
ではその違いを先日のダウンの写真を紐解いて見ていきましょう。
前回の違いを具体的に言うと次の区分けになります。
①鳥の違い
グース>ダッグ
②産地の違い
ハンガリー、フランス、ポーランド、カナダなど欧米系
中国、台湾、東南アジアなどアジア系
※残念ながら日本製は、ほぼありません。
どの国が良いかは、一概には言えませんのであえて優劣はつけません。
ちなみにどうしてこのような産地になっているのかわかるでしょうか?
そもそもダウンは、食用のガチョウやアヒルの廃棄されていた羽を、使用するところから始まっています。よって、ガチョウやアヒルを食用としていない国では、養殖をしておらずダウンも取れません。
フォワグラとして、その内臓までも調理食している欧州や、北京ダッグとして肉を食し、
ピータンとしてその卵を食している中華系の国でも養殖は盛んです。
よってそれらの国でダウンは多く採取できるというわけです。
ダウン以外の羽の部分も、バドミントンのシャトルなどにも使われています。
③羽毛の種類
ダウンとフェザーの区分けだけではなく、ダウンの中でもやはり卵を産んだ親鳥の羽毛は、
ダウンボールが大きくこれらを『マザーグース』と称して特別に取り扱っている高級ダウンです。
卵を温めるためにダウンボールも密度が濃く、大きくなっています。
実はその上には、最高級のアイダ―ダッグダウンがあります。
アイダ―ダックは、極寒のアイスランドの北部に生息し、約40度という体温を維持するために、保温性の高い羽毛に覆われています。親鳥は、卵を産むときに自分の胸からダウンを抜き、巣の中に隙間のないよう敷きつめて、断熱、保温の材料とすることで、大切なたまごや雛を寒さから守ります。

アイダ―ダッグの巣
アイダ―ダックは国の保護種に認定されているため、鳥に直接手で触れることができません。雛が巣立ち不要になった巣から、ダウンを1つずつ手で集めます。1つの巣から採取できる羽毛はほんのわずかで、羽毛布団1枚分(約1㎏)のダウンを採取するには、15個前後の巣から4回にわたって採取する必要があります。

では、ダウンの違いを簡単にご紹介します。

同じダウンでも「ダウンボール」の大きさがこれだけ違います。

高品質ダウンだけを見ても、これだけの差があります。
左:ポーランド産マザーグースダウン 95% DP440
左中:中国産マザーグースダウン 95% DP440
右中:中国産マザーグースダウン 93% DP420
右:ポーランド産グースダウン 93% DP400
数字でとらえると、左から高級ダウンになります。
DP(ダウンパワー)というのはPP(フィルパワー)同様のダウンの膨らみ具合を
表す単位です。
ただし、実際はダウンボールの大きさを見てもらえばわかる通り、両端のダウンボールは大きく枝葉のような羽毛部分も長いのがお分かりいただけると思います。
お値段はやはり左右のポーランド製のダウンが高いのですが、実は、ANIMEXという食肉加工メーカーで、日本向けのダウンを多く出荷しています。
規模も大きく、様々な品質のダウンを取り扱っており、鳥の養殖から食肉加工、ダウンの採取、洗浄そして寝具の製造までを一貫して行っている会社です。
ANIMEXのダウンは寝具業界では高級ダウンとして一目置かれた別格のダウンとなります。
この写真の左右のダウンは、このANIMEX社製のものです。
ただし、日本のダウン加工メーカーは、これらの高級ダウンでさえ、さらに加工して品質を向上させています。
現場で加工されているところを見せていただいた時には、本当に驚きました。
ANIMEX社についてもネットで調べてみるとやはりすごい企業です。
そのダウンでさえさらに加工して品質を上げようとする日本のクオリティの高さは、
まさに「ジャパンクオリティ」そのものだと思います。
次回は、日本での加工の内容をご紹介します!
では、また。
2020.11.04
ダウンのお話(その1)
おまたせしました!
今回は、ダウンを掘り下げてみます。
ダウンについては、やはり布団メーカーが一番詳しく取り扱いも多く、
日本で一番ダウンを取り扱っているのは布団の西川㈱様だと思います。
詳しく知りたい方は、㈱西川様のHPなどをご覧ください。
ここからは、衣料用に使用したダウンの当社での実績を元にした個人的な考えなので、
ご了承ください。
〇ダウンって何?
ダウンと聞くと『水鳥の羽』って答えることがあります。
これは、正しくもあり正確に言うと正しくない面もあります。
ダウン製品を買うと、洗濯表示に「ダウン〇〇%、フェザー〇〇%」と
表記されています。
ダウンは水鳥の胸の部分からとれる羽軸のない綿毛のような羽毛のことです。

ダウン
フェザーは、それ以外の羽や羽毛で、ダウンが壊れて小さくなったものなども含めた全般です。

フェザー(これはダウンではありません)
*ダウン以外の部分がフェザーになるので、形状はこれ以外もたくさんあります。
※詳しく知りたい方は、「ダウンとフェザー」で検索すると多くの方の説明が
あるのでそちらをご覧ください。
〇まず、ダウンの種類
ダウンといっても大きく分けると2種類あります。
アヒル(家鴨)=DUCK
ガチョウ(鵞鳥)=GOOSE
そう言われても想像ができないですよね。
アヒルは鴨を家畜化したもので、ガチョウは雁を家畜化したものです。

ガチョウ

アヒル
鴨と雁だと、雁のほうが大きいと覚えておくと違いが理解しやすくなります。
前置きはここまでです。
手元にある資料で分かりやすいところから説明します。
ダウンの品質の違いは何が原因なのでしょうか?
① 鳥の違い:先ほどのダックとグースの違いのことです。
※ダックとグースと聞くと分かりにくいですが、アヒルとガチョウだと
大きさの違いがイメージしやすくないでしょうか?
② 産地の違い:どこの地方の鳥から採取したのかによっての違いです。
鳥の毛でしょ?と思われるかもしれませんが、やはり寒い地域の鳥のほうが
羽毛の保温性が高くなるそうです。よって、北のほうがよく、
且つ採取した時期が冬のほうが良いといわれています。
③ 混率の違い:これは、ダウンボールとフェザーの混率の違いです。
ダウンが多いほうが、保温性が高く、ソフトで軽くて高級になります。
④ 加工地域での違い
この要素は一概には言えませんが、私が見た限りではやはりジャパンクオリティは
この分野でも存在しており、あらゆる方法を駆使して不純物を取り除いたり、
臭いをなくした他の地域のダウンとはこだわり方が違っています。
同じものでも、日本で加工してからだと全く違うものに生まれ変わります。

ちなみに、上の写真に入っているダウンは全て種類が違います。
一つだけを見ると、ほとんどわかりませんが、比べると全く違うことがよくわかります。
今回は、この違いも掘り下げてみます。
では、続きはまた次回に!